IDDSIのテクスチャー確認テスト
IDDSIでは液体のフローテスト以外に、固形・半固形食品のテクスチャーを確認するためのテストが定義されています。主要なのは以下の3つです:
- 叉テスト(Fork Test):レベル6(ソフト&バイトサイズ)の確認
- スプーンティルトテスト(Spoon Tilt Test):レベル4(ピューレ状)の確認
- ドリップテスト(Drip Test):レベル3(中間のとろみ)との境界確認補助
これらを使って施設キッチンや在宅で食品のIDDSIレベルを現場確認できます(www.iddsi.org/framework)。
叉テスト(Fork Test)の詳細
目的
IDDSIレベル6(ソフト&バイトサイズ)の食品が適切な軟らかさであることを確認します。
手順
- 一般的な食卓用フォーク(またはデザートフォーク)を準備する
- フォークを食品の上に水平に置く
- 親指の指腹を使ってフォーク背面を押す
- 食品の変形を観察する
判定基準
| 結果 | 判定 |
|---|---|
| 親指の力でフォークが食品に沈み込み、食品が容易に変形する | レベル6合格 |
| 強く押しても変形しない・硬い | レベル6不合格(再調理が必要) |
| スプーンで変形できる(より柔らかい) | レベル5(ミンチ状)または4(ピューレ状)に相当 |
実践上の注意
- 叉テストは「食品の最も硬い部分」で行う(最も硬い部分が合格なら全体合格)
- 同じ料理でも温度によって硬さが変わる(冷めると硬くなる場合)
- 義歯装着者・高齢者では叉テスト合格でもさらに柔らかい方が安全な場合がある
ドリップテスト(Drip Test)の詳細
目的
食品がIDDSIレベル3(中間のとろみ)とレベル4(ピューレ状)の境界にあるかを確認する補助テストです。主にピューレ・ムース状の食品の「流動性」を確認します。
手順
- 食品をスプーンにたっぷりすくう
- スプーンを傾けて食品を少し滑らせる
- スプーンから食品がどのように落ちるかを観察する
判定基準
| 観察結果 | IDDSIレベル |
|---|---|
| ゆっくりとドリップ(滴る)するが止まる | レベル4(ピューレ状)の可能性 |
| 流れるように落ちる | レベル3(中間のとろみ)に相当する可能性 |
| 流れず形を保つ | レベル5(ミンチ状)以上 |
スプーンティルトテスト(Spoon Tilt Test)
目的
レベル4(ピューレ状)の食品が適切な性状であることを確認します。
手順
- 食品をデザートスプーンにすくい、山盛りにする
- スプーンを斜め45度に傾ける
- 食品の動きを観察する
判定基準
| 観察結果 | IDDSIレベル |
|---|---|
| スプーンを傾けると食品がゆっくり滑り落ち、スプーンに跡を残す | レベル4合格 |
| 液体のように勢いよく流れ落ちる | レベル3以下(とろみ不足) |
| まったく動かない・スプーンに固着する | レベル5以上(硬すぎる) |
JDS-C 2021との対照
| テスト | 確認するレベル | JDS-C 2021コード |
|---|---|---|
| フォークテスト | レベル6(ソフト&バイトサイズ) | コード4 |
| スプーンティルトテスト | レベル4(ピューレ状) | コード2 |
| ドリップテスト | レベル3〜4の境界 | コード1〜2 |
詳細はIDDSIフレームワークを参照してください。
施設での品質管理への組み込み
特養・老健では、調理後の食品が処方されたIDDSIレベルを満たしているかを確認するために、これらのテストを日常的に実施することが推奨されます:
実施タイミングの例
| タイミング | 実施するテスト |
|---|---|
| 新しいレシピを導入したとき | 対応するIDDSIテスト |
| 食材・調理法を変更したとき | 対応するIDDSIテスト |
| 新人調理スタッフが担当するとき | 指導を兼ねて実施 |
| 患者から「食べにくい」と訴えがあったとき | 確認テスト |
記録と管理
テスト結果は調理記録簿に残し、管理栄養士・STが定期的に確認します。不合格の場合は調理方法の再検討と再テストを行います。
在宅での簡易チェック
在宅介護では、専用器材がない場合でも、以下の目視・触感チェックができます:
- 親指で押して変形するか(叉テストの代替)
- スプーンで軽く押してつぶれるか
- スプーンを傾けたときゆっくり落ちるか
確信が持てない場合はSTまたは管理栄養士に相談してください。
安全な食事介助の実践ガイドとSTへの紹介タイミングも参照してください。
参考文献・引用
- ASHA(米国言語聴覚士協会). Adult Dysphagia. https://www.asha.org/practice-portal/clinical-topics/adult-dysphagia/
- IDDSI(国際嚥下調整食分類). The IDDSI Framework. https://www.iddsi.org/framework
- Logemann JA, et al. (1998). PubMed PMID: 26315994
- 日本嚥下医学会. https://www.jsdr.or.jp/
- 日本嚥下調整食学会. 嚥下調整食学会分類2021. 2021.
本記事は医療・介護専門職および家族介護者への情報提供を目的としています。食形態は担当言語聴覚士の指示に従ってください。