IDDSIレベル2:わずかにとろみ(Mildly Thick)
**IDDSIレベル2——わずかにとろみ(Mildly Thick)**は、水やレベル1より明らかに流れが遅いものの、カップから注ぐことができる液体の粘度です。旧来の全国嚥下困難食ダイエット(NDD)では「ネクター状(nectar-thick)」と呼ばれており、香港の臨床現場でもこの用語は引き続き使われていますが、IDDSIは国際的な曖昧さを避けるため食品名の使用を廃止しています。
レベル2の液体は口の中でわずかにコーティング感があります——シロップほど重くはなく、しかし薄い果汁より明らかに抵抗感があります。この粘度が咽頭の嚥下反射に余裕時間を与え、軽度から中等度の咽頭性嚥下障害のある患者の誤嚥リスクを低減します。
IDDSIシリンジフローテスト——レベル2の基準
標準IDDSIの10 mlシリンジテストで隣接レベルと区別します:
| レベル | 10秒後の残留量 | 臨床的説明 |
|---|---|---|
| 0 | ≤1 ml | 薄い |
| 1 | 1–4 ml | わずかにとろみ(軽微) |
| 2 | 4–8 ml | わずかにとろみ(軽度) |
| 3 | 8–10 ml(ゆっくり滴下) | 中程度のとろみ |
テスト手順:
- 標準的な10 ml Luerスリップシリンジ(針なし)に調製した液体を10 ml吸引します。
- 先端を下向きに垂直に持ち、一本指で出口を塞ぎます。
- タイマーをスタートさせると同時に指を離します。
- ちょうど10秒後に再び出口を塞ぎます。
- シリンジの目盛りで残留量を読み取ります。
残留4–8 mlがレベル2の確認基準です。 4 ml未満なら薄すぎ(とろみ剤を追加)、8 ml超ならレベル3に達しています。
レベル2が処方される対象
レベル2は、薄い液体で誤嚥リスクがあるが、流れのやや速いとろみのある飲み物には疲労なく対応できる患者に多く処方されます:
- 亜急性期脳卒中で軽度の咽頭遅延がある場合
- パーキンソン病(初期から中期)——喉頭挙上の遅れと輪状咽頭筋の硬直
- 軽度の嚥下障害を伴う認知症——軽度のとろみが中程度より受け入れられやすく、水分摂取量の維持につながる
- 高齢者の虚弱(フレイル)——咽頭筋全体の低下だが咳嗽反射は保たれている
- 頭頸部がん(放射線治療後)——治療後数週間の咽頭浮腫
言語聴覚士(ST)が GUSS、MBSS、またはFEESなどの正式な嚥下評価を行った後に処方します。
ネクター稠度とIDDSIレベル2の比較
| パラメータ | NDDネクター状 | IDDSIレベル2 |
|---|---|---|
| 測定テスト | ラインスプレッドテスト | シリンジフローテスト |
| 粘度目標 | 51–350 cP | 約50–350 cP(重複) |
| 国際標準化 | なし | あり |
IDDSIレベル2が現在の国際標準です。香港の医院管理局もIDDSI用語への移行を推進しています。
とろみ剤の調製ポイント
でんぷん系とろみ剤
- 液体が冷えるにつれてとろみが増す傾向
- 提供温度でテストを行う(調製温度ではなく)
- かき混ぜ後30–60秒静置してからテスト
キサンタンガム系とろみ剤
- 温冷問わず安定した粘度
- ゆっくり飲む患者や冷たい飲み物に適している
- 典型的な使用量:200 mlあたり約1–1.5 g(製品により異なる、フローテストで確認)
日本の介護施設での注意点
日本では「嚥下調整食学会分類2021」が広く使われており、IDDSIのレベル2に相当するのはとろみの「薄い」から「中間」の範囲です。両体系は類似していますが完全には一致しないため、施設間での移行時には注意が必要です。国際的な場面ではIDDSI用語の使用が推奨されます。
参考文献
- IDDSI Committee. (2019). IDDSI Framework: Complete Definitions. iddsi.org.
- Cichero JAY, et al. (2017). Dysphagia, 32(2), 293–314.
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会. (2021). 嚥下調整食学会分類2021.
- Steele CM, et al. (2015). Dysphagia, 30(2), 119–128.
このページの情報は教育目的のみであり、医療アドバイスを構成するものではありません。IDDSIの食事レベルは、資格を持つ言語聴覚士による個別の臨床評価の後に処方される必要があります。