IDDSIレベル7「通常食(Regular)」とは

IDDSI(国際嚥下調整食分類)レベル7「通常食(Regular)」は、一般的な食事に相当するカテゴリーです。ただし嚥下障害管理の文脈では、レベル7を「適応版通常食(Regular Adapted)」として、一部の高リスク食品を除いた通常食として提供することが重要です(www.iddsi.org/framework)。

嚥下障害のある方が「普通の食事」に近い食事を取れることは、QOL(生活の質)と食の尊厳(しょくのそんげん)に直結します。STと管理栄養士の連携のもと、最大限通常食に近い形で安全に食事を楽しめる環境を整えることが重要です(ASHA, 2023)。


レベル7の定義

レベル7に含まれる食品の特徴:

ただし、以下の「危険な食品」は嚥下障害の有無に関わらず注意が必要です。


レベル7でも注意が必要な高リスク食品

嚥下障害がある場合、レベル7(通常食)に移行しても以下は引き続き除外・調理法変更が推奨されます:

食品カテゴリー危険な理由対処方法
餅・団子強い粘着性で窒息リスク原則禁止または極薄スライス
ナッツ・豆類(乾燥)硬くバラバラになりやすい柔らかく煮てから提供
こんにゃく弾力性が高く噛み切りにくい柔らかく煮るか除外
ワカメ・海藻咽頭に張り付く細かく刻む
魚の骨窒息・咽頭損傷のリスク完全に骨を除去
大きな薬(錠剤)誤嚥・窒息粉砕可能か薬剤師に確認

段階的な食形態アップの過程

レベル7への移行は段階的に行います。典型的な移行の流れ:

レベル5(ミンチ状)→ レベル6(ソフト&バイトサイズ)→ レベル7

各ステップでのSTによる再評価が必要です。以下の基準が揃ったときにレベル7への移行を検討します:


食の尊厳と適応版通常食

嚥下調整食の低いレベルへの固定化は、患者のQOLと食の楽しみを著しく低下させます。日本嚥下医学会(www.jsdr.or.jp)は、必要最小限の食形態制限を原則とし、機能回復とともに積極的な食形態アップを推奨しています。

文化的・社会的な食の価値 日本では、節目の行事・家族の集い・季節の食事(花見・お正月など)が大切にされています。嚥下障害があってもこれらの食の場に参加できるよう、適応版通常食の提供は単なる栄養管理を超えた意義を持ちます。


JDS-C 2021との対照

IDDSI レベルJDS-C 2021コード特徴
レベル6(ソフト&バイトサイズ)コード415mm以下の軟菜
レベル7(通常食)適応版形態調整普通食リスク食品を除いた通常食

詳細はIDDSIフレームワークを参照してください。


特養・老健・在宅での実践

施設での対応

多くの施設では「普通食」「常食」とレベル7の区別が明確でないことがあります。STと管理栄養士が「適応版通常食」の基準を明文化し、キッチンスタッフ・介護職に周知することが重要です。

在宅での対応

家族が調理する場合、リスク食品リストを提供し、簡単に安全な食事を作れるよう管理栄養士が指導します。

安全な食事介助の実践ガイドSTへの紹介タイミングも参照してください。


参考文献・引用

  1. ASHA(米国言語聴覚士協会). Adult Dysphagia. https://www.asha.org/practice-portal/clinical-topics/adult-dysphagia/
  2. IDDSI(国際嚥下調整食分類). The IDDSI Framework. https://www.iddsi.org/framework
  3. Logemann JA, et al. (1998). PubMed PMID: 26315994
  4. 日本嚥下医学会. https://www.jsdr.or.jp/
  5. 日本嚥下調整食学会. 嚥下調整食学会分類2021. 2021.

本記事は医療・介護専門職および家族介護者への情報提供を目的としています。食形態の変更は担当言語聴覚士の評価に基づいて行ってください。