IDDSIテストとは

IDDSIフレームワークでは、食物・液体の食形態レベルを客観的に確認するための公式テスト方法が定められています。これらのテストは、病院の厨房・施設の調理スタッフ・在宅介護者が、作成した食事・飲料が指定されたIDDSIレベルに合致しているかを確認するために使います。

専門的な機器は不要で、日常的な調理器具で実施できるため、自宅でも実践可能です。


テストに必要なもの


テスト1:フォークドリップテスト(液体レベル1〜3の確認)

目的

薄いとろみ〜濃いとろみの液体(IDDSIレベル1〜3)の判定に使用します。

手順

  1. 飲料(とろみをつけた後)をスプーンまたはカップに取る
  2. **フォークの背面(平らな面)**で液体をすくい上げる
  3. フォークを水平に保ち、液体が落ちる様子を観察する

判定基準

IDDSI レベル判定
レベル0(薄い液体)すぐに素早く流れ落ちる。フォークの穴を通り抜ける
レベル1(極薄いとろみ)すぐに流れるが、わずかに抵抗がある
レベル2(薄いとろみ)ゆっくり流れ落ちる。フォークに薄く膜が残る
レベル3(中等度のとろみ)非常にゆっくり流れるか、ほぼ落ちない

テスト2:フォークピーステスト(食物レベル4〜6の確認)

目的

ピューレ食・ミンチ食・ソフト食(IDDSIレベル4〜6)の食物が適切な柔らかさかを確認します。

手順

レベル4(ピューレ)の確認:

  1. 食物をスプーンに乗せる
  2. スプーンを傾けて食物の落ち方を確認する
  3. 均質でなめらかか、液体と固体が分離していないか確認

判定:スプーンを傾けると形を保ちながらゆっくり落ちる(液体のようには流れない)

レベル5(ミンチ)の確認:

  1. 食物を皿に置く
  2. フォークの先端(歯の先)を食物に押しつける
  3. 容易に押しつぶれるかを確認

判定:フォークの歯で軽く押すだけで簡単につぶれる。粒は4mm以下

レベル6(ソフト食)の確認:

  1. 食物を皿に置く
  2. 舌でつぶすイメージで、フォークの背面を使って押しつぶす

判定:中程度の力で押しつぶせる。食物の大きさが1.5cm×1.5cm以下


テスト3:10ml注射器テスト(液体レベル1〜4の確認)

目的

とろみをつけた液体の粘度を客観的に測定し、IDDSIのとろみレベルを確認します。

手順

  1. 10ml注射器(シリンジ)に測定する液体を10ml吸い取る
  2. 注射器を垂直に立てる
  3. 10秒間、重力のみで液体を押し出す(プランジャーは押さない)
  4. 10秒後に注射器内に残った液体量を測定する

判定基準(IDDSIの注射器テスト)

残量(10秒後)IDDSI レベル
1ml未満レベル0(薄い液体)〜レベル1
1〜4mlレベル1(極薄いとろみ)
4〜8mlレベル2(薄いとろみ)
8〜10ml(ほぼ全量残る)レベル3〜4

日本でのIDDSIテスト実施時の注意点

温度の影響

でんぷん系とろみ剤は温度によって粘度が大きく変化します。テストは飲料の実際の提供温度(熱い・温かい・常温・冷たい)で実施することが重要です。

キサンタンガム系とろみ剤は温度変化に安定しており、テスト結果が安定しやすいです。

時間経過の影響

とろみ剤を加えてから時間が経つにつれ、でんぷん系は粘度が変化することがあります。とろみをつけた直後と、30分後に再度テストを行うことで安定性を確認できます。

介護保険施設での品質管理

日本の特養・老健では、とろみ剤の品質管理として定期的(毎日または週1回)にIDDSIテストを実施することが推奨されます。測定結果を記録し、調理担当者間で情報共有してください。


家庭での実施ガイド

注射器の入手方法

薬局で「経口投薬用シリンジ(10ml)」として購入可能です。価格は1本数百円程度。複数本を揃えて毎日使用する場合は衛生的な管理が必要です。

テスト結果の記録

担当STに定期的にテスト結果を報告することで、在宅での食形態管理を医療チームと共有できます。写真・動画を撮影してSTに見せることも有効です。


まとめ

IDDSIのフォークドリップテスト・フォークピーステスト・注射器テストは、家庭や施設で手軽に実施できる食形態品質確認の方法です。特にキサンタンガム系とろみ剤を使用している場合は、提供温度でのテストで安定性を確認してください。担当STの指示のもと、定期的なテストで安全な嚥下調整食の品質を維持しましょう。