嚥下障害対応レシピ一覧 — IDDSI レベル別
嚥下障害のある方の食事は、安全性を確保しながら「おいしさ」「見た目の楽しさ」「栄養バランス」を兼ね備えることが理想です。このページでは、IDDSI フレームワークの各レベルに対応したレシピカテゴリと、日本の食文化に根ざした和食軟化レシピのアイデアを紹介します。
IDDSI 別レシピカテゴリの紹介
レベル3:流動食(Liquidised)
喉を通り、口の中で形を保たない状態です。嚥下機能が低下した急性期や、口腔・咽頭に強い問題がある方が対象です。
レシピのポイント:
- 全粥をブレンドし、裏ごして均一にする
- 野菜スープをブレンダーで滑らかにし、豆乳・牛乳でコクを加える
- 水分と食材が分離しないよう、ゲル化剤やとろみ剤でまとまりを持たせる
和食レシピ例:
- 出汁入り全粥ペースト(和風だし・みりん少量)
- すりながし汁(擦りおろしたかぼちゃ+昆布出汁)
- 豆腐クリームスープ(絹ごし豆腐+コンソメ風出汁)
レベル4:ピューレ食(Puréed)
スプーンで山を作れる滑らかな食品。均一で粒のないテクスチャーが条件です。フォーク圧迫テストで広がることを確認してください。
レシピのポイント:
- 食材を十分に加熱・軟化させてからブレンド
- 水分が少なすぎると「べったり」としたテクスチャーになる。出汁・豆乳を適量加えて滑らかにする
- 仕上げは裏ごし器またはこし器を通すと均一になる
和食レシピ例:
- 茶碗蒸し風ピューレ:卵・だし汁(1:2.5〜3)を混ぜて蒸す。えび・鶏肉はブレンドしてから戻す
- かぼちゃのピューレ:蒸したかぼちゃ+出汁+少量の砂糖。彩りがよく食欲を引き出す
- さつまいもピューレ:ビタミンC・食物繊維も摂れる。甘みで食べやすい
- ほうれん草のクリームピューレ:茹でたほうれん草+豆腐+出汁
レベル5:ミンチ状・しっとり食(Minced & Moist)
4mm以下の小さな粒からなる食品。まとまりを保ち、フォーク圧迫で変形します。
レシピのポイント:
- 食材は4mm以下に切るか、粗くブレンドする
- あんかけがレベル5調理の「最強の味方」:片栗粉あんでコーティングすることでまとまりが向上し、誤嚥リスクを軽減
- 乾燥しやすい食材(パン・クッキー類)はレベル5には不向き
和食レシピ例:
- あんかけ豆腐:木綿豆腐を小さく崩し、だし風味のあんをかける。タンパク質補給に最適
- 茶碗蒸し(粗め):通常より凝固させ、スプーンで崩すと自然にレベル5のテクスチャーに
- 卵とじ(やわらか):薄味の出汁で溶き卵をやわらかくとじる
- 鶏そぼろのあんかけ:ひき肉を細かく炒め、片栗粉あんでまとめる
レベル6:やわらか食(Soft & Bite-Sized)
1.5cm角以下で、舌と口蓋で潰せる軟らかさ。フォーク側面で切れることが判定の目安です。
レシピのポイント:
- 圧力鍋・低温調理・長時間煮込みで食材を十分に軟化させる
- 食材の大きさは1.5cm角以下に統一する
- 汁気を多めにすることでまとまりを助ける
和食レシピ例:
- 煮魚(鯛・タラ):やわらかく煮た白身魚。小骨に注意し完全に除去する
- 肉じゃが(やわらか仕立て):圧力鍋で調理し、じゃがいもを崩れる直前に止める
- 高野豆腐の含め煮:十分に戻し、出汁をよく吸わせる。タンパク質・カルシウム豊富
- ブロッコリーの煮びたし:十分に茹で、茎部分を除き花蕾のみ使用
和食軟化レシピ:定番3品の詳細
1. 茶碗蒸し(レベル4〜5対応)
茶碗蒸しは嚥下食として理想的な食品のひとつです。均一なゲル状で滑らかであり、好みに応じてレベル4〜5に調整できます。
材料(2人分):
- 卵 2個
- 出汁(昆布+かつお節) 300mL
- 薄口醤油 小さじ1
- みりん 小さじ1
手順:
- 卵をよく溶きほぐし、冷ました出汁と調味料を加えてよく混ぜる
- こし器で1〜2回こして泡を取る(均一なテクスチャーのため重要)
- 蒸し器で中火5分→弱火10〜12分蒸す
- レベル4向け:そのままスプーンですくって提供
- レベル5向け:スプーンで粗く崩して盛り付け
2. 卵豆腐(レベル4〜5対応)
市販品も活用できますが、手作りは味・テクスチャーを細かく調整できます。
ポイント:卵:だし汁の比率を1:3にすると非常に滑らかなレベル4になります。1:2にするとやや固めのレベル5向けになります。
3. とろろ昆布スープ(レベル2〜3対応)
材料(1人分):
- とろろ昆布 3〜5g
- 熱湯または出汁 150〜180mL
- 薄口醤油 数滴
手順:
- 器にとろろ昆布を入れ、熱湯(またはお吸い物仕立ての出汁)を注ぐ
- よく溶かす
- 醤油で味を調える
とろろ昆布は水分を吸収してとろみを生じるため、自然なとろみスープになります。飲み込みやすく、ヨード・食物繊維も摂れます。
季節別食材ガイド
| 季節 | 嚥下食に適した食材 | 調理の工夫 |
|---|---|---|
| 春 | たけのこ(柔らかい穂先のみ)・新じゃが・菜の花(茎除く花蕾のみ)・豆腐 | 春野菜は茹でてピューレに。彩りを生かす |
| 夏 | かぼちゃ・なす・そうめん(柔らかく茹でて)・桃(皮なし)・バナナ | なすは皮を除いて蒸す。果物は自然な甘みでデザートに |
| 秋 | さつまいも・栗(茹で栗)・秋鮭・豆腐・なめこ | さつまいもピューレ・秋鮭の蒸し煮が定番 |
| 冬 | 大根(煮込み)・白菜・鍋料理の素材・りんご(蒸しリンゴ) | 鍋ものは柔らかく煮えた食材を活用。寒い季節は温かい食事が特に大切 |
市販嚥下調整食品との組み合わせ
毎食すべてを手作りすることは難しいため、市販品を上手に活用しましょう。
おすすめの組み合わせ例:
- 主食:市販のレトルト全粥(キユーピー・介護食シリーズ)+手作りのあんかけ野菜
- 主菜:市販の嚥下調整食(明治やわらか食シリーズ)+手作りの出汁入りスープ
- デザート:市販のゼリー飲料(蒟蒻畑 とろっと仕立て等)+水分補給を兼ねる
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最終更新:2026年5月13日