嚥下障害とは?症状・原因・対処法をわかりやすく解説

嚥下障害(えんげしょうがい)とは、食物や液体を口から胃へ安全に送り込む機能——嚥下(飲み込み)——に何らかの問題が生じた状態を指します。軽度のものは「食べるのが遅くなった」「むせやすくなった」という程度ですが、重度になると誤嚥性肺炎や栄養不良、脱水のリスクが高まります。


日本における有病率

日本では嚥下障害を抱える人は推計800万人以上とされており、高齢化の進行とともにその数は増加しています。


嚥下の仕組み——4つのステージ

正常な嚥下は以下の4段階で進行します。

ステージ内容
先行期(認知期)食物を見て、においを嗅ぎ、食べる準備をする段階
準備期口の中で食物を噛み砕き、まとまりを形成する段階
口腔期舌が食塊を咽頭へ送り込む段階
咽頭期反射的に喉頭蓋が閉鎖し、食塊が食道へ送られる段階
食道期蠕動運動で食塊が胃へ到達する段階

この流れのどこかに問題が生じると嚥下障害となります。


主な原因疾患

神経・筋疾患

頭頸部がん・治療後

加齢による機能低下(サルコペニア嚥下障害)

その他


EAT-10:自分でできる嚥下機能スクリーニング

**EAT-10(Eating Assessment Tool)**は、スイスのBelafsky博士らが開発した10問の自己記入式スクリーニングツールです。日本語版も検証済みで、広く臨床・在宅で使われています。

設問例(各0〜4点の5段階評価):

  1. 嚥下の問題により体重が減った
  2. 嚥下の問題により外食することが妨げられている
  3. 液体を飲み込むのに努力がいる
  4. 固形物を飲み込むのに努力がいる
  5. 錠剤を飲み込むのに努力がいる
  6. 飲み込む動作が痛い
  7. 食べる喜びが嚥下障害によって影響を受けている
  8. 食べるとき食物がのどに引っかかる
  9. 食べるときせき込む
  10. 飲み込むときストレスを感じる

合計スコア3点以上:専門医・言語聴覚士への相談を推奨します。


嚥下障害のサインに気づく——家族・介護者向けチェックリスト

在宅介護の場面では、以下のサインに注意してください。


専門病院・専門家への相談

受診科目の目安

日本摂食嚥下リハビリテーション学会(JSSD)

**日本摂食嚥下リハビリテーション学会(JSSD)**は、摂食嚥下分野の専門医・言語聴覚士・管理栄養士・歯科医師らが参加する学術団体です。学会ウェブサイトでは「嚥下専門外来」のリストも公開されており、地域の専門家を探す際に参照できます。

**学会分類2021(嚥下調整食)**は、JSSD が策定した日本の標準的な食形態分類であり、現在IDDSI との整合が進んでいます。

言語聴覚士(ST)への相談

言語聴覚士は嚥下評価・訓練の中核を担う専門職です。訪問型の嚥下リハも介護保険の給付対象となっており、在宅でも専門的なサポートを受けることができます。


嚥下障害のある方への食事対応——基本の考え方

  1. 食形態の調整:IDDSI フレームワーク(レベル0〜7)に基づいて安全な食形態を選択します
  2. とろみの使用:液体の流れを遅らせることで誤嚥リスクを下げます
  3. 食事姿勢:30〜90度の適切な座位保持が誤嚥予防に有効です
  4. 口腔ケア:口腔内細菌を減らすことで誤嚥性肺炎を予防します
  5. 嚥下訓練:言語聴覚士の指導のもと、機能維持・改善を図ります

まとめ

嚥下障害は「歳だから仕方ない」と諦めることなく、早期に気づき、専門家に相談することが重要です。EAT-10 でスクリーニングし、気になるサインがあれば主治医・言語聴覚士に相談しましょう。食形態の調整・とろみの活用・口腔ケアの継続によって、安全で楽しい食事を維持することは十分可能です。


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最終更新:2026年5月13日